クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第10章 ムーンブレイド
エレベーターを降りたあと、閉まるドアを振り返りながら倒れているイブラヒムを見送った
「そんな顔をしないで、ジェフリー!
どうせ彼は40過ぎた大人の兵士なのよ?」
「どうしてそんなことがわかる?」
「エターナル計画はとっくの昔に封印されてしまったもの!研究施設ごとね!主任研究者のキンバリー博士は死体で見つかったわ、きっと人体実験の恨みを晴らされたのね」
「お前も中身は子供じゃないっていうのか?」
「わたしたちキアラはアレクの子供から複製された子どもなの、試験管ベビーね
私は生まれてからおそらく10年くらいかしらね?詳しくは私も知らないわ!
兵士に教育され、小児愛好家にあてがわれ、道具としか扱ってもらってないもの!
どうだっていい10年だったわ!」
ジェフリーは目の前の少女が気丈に振る舞っているが、中身はただの子ども、愛を知らされてない子どもなのだと悲しくなった
しかし目の前の少女は同情なんて求めていないだろう
彼女は自分専用のマシーンを手に入れて、戦えることを求めているようなのだ
厳重にロックされた扉の前に来た
認証させるようなテンキーも網膜スキャンや指紋スキャンするようなセンサーも何も無かった
ジェフリーがピストルで狙いを定めようとすると、キアラがその前に立ちはだかった
少女は首から下げたペンダントをかざす
すると扉は自動で開いた!
「ここまでは彼もたどり着けたみたいね」
キアラは前から来たことがあるかのように中へ滑り込んでいった
ジェフリーも拳銃を掲げたまま、中を進んでいく
「ここは研究所か?なにかの基地?
いや船の中のようにも思える」
「違うわ、すでにわたしたちはカタストロフマシーンの中に居るのよッ!」
「これが?こんなに巨大なマシーンが?」
「ダムの中に隠されていたのね、いえ、きっとこのマシーンが此処にあったから無理やりダムを建造して隠したんだわッ!」
そう語る少女の表情はなんだか楽しそうだった
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