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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第10章 ムーンブレイド


「お前、ここに来たことがあるのか?」


ジェフリーは駆け足で狭い通路を通っていく

「無いわよ、でもシミュレーション通りだもの!コックピットはもう目の前よ!」


「シミュレーション?それは誰が作ったんだ?」


「さぁ?きっとオーロラじゃない?」


「オーロラ将軍が?」


「ほら、ついたわ!」


通路の先にあったドアが主人を待っていたかのように自動で開く


中は狭い空間で、真ん中にシートがあった

部屋中のモニターや計器類が並んでいるが何年も使われていないようにホコリだらけだった


「なんなんだ?この遺跡みたいなものは?」


「シートは綺麗ね、きっとイブラヒムが座ったのね?残念なこと!わたしでないと動かせないのよ、この子はッ!」


ひらりと少女がシートにまたがる

キアラは目を閉じて、すうっと息をする


「……オーロラの匂いがするわ」


「……? そうなのか?」


ジェフリーにはわからなかった


キアラが正面のグリップを握る

するとグリップが光り輝き始めた

グリップそのものが指紋認証されているのだろうか? いやグリップ全体が生体認証しているようだ


「光ったぞ?」

「いまわたしを確認しているのよ」


正面の壁のような巨大なモニターに文字が映る


“カタストロフマシーン


  ムーンブレイド


ドライバー、キアラ 認証



おかえりなさい、キアラ”



次々と文字が出て来て、そこからは部屋全体のモニターが始動を開始した


「シミュレーションとまったく同じだわッ
 やっぱりオーロラは此処に居たんだ!
 そうじゃないかと思ってたッ!!!」


キアラは大笑いし始めた

ケラケラといつまでも笑いが止まらない


「おいおい、大丈夫かよッ!?
 気でも触れちまったのか!?
 頼むぜ、地上には連邦軍のモビルスーツが待ち構えているんだぜ???」


「モビルスーツなんてどうだっていいわッ!
 それより私の仮説が正しかったほうがもっと重要よッ!この子で確信したわッ!
 この子、もともとオーロラのマシーンだったのよッ!」


「な、何を言ってるんだッ!?」


「わからない??

 オーロラは“キアラ”だったのよッ!」



ジェフリーは固まってしまった……



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