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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第10章 ムーンブレイド


その頃、オーロラとエミリー・バリーは巨大な飛行艇フェニックス級〈イビザ〉に乗っていた


眼下にはあのダムの建設現場が見えている


緑の山々を切り開いたようなその場所は一見してもただの都市開発の一環のようにしか見えないだろう


飛行艇のブリッジクルーが大きな声で報告する

「エミリー将軍、次々とМポイントに連邦軍のモビルスーツが集結しています!現在の数8機!
 いや、12機ッ!」


飛行艇〈イビザ〉は連邦軍からの攻撃を避けるように上昇していく

小さくなっていく眼下の光景を眺めているオーロラは無表情だ

その横の艦長席に座る少女エミリーは笑顔でオーロラに問いかけた


「ホントにあのお嬢ちゃん大丈夫なの?」


「ええ、シミュレーションは何万回もやらせたわ、それにあの子にやってもらわなければ困るわ」


「ふぅーん? アンタはそれでいいの?
 もともとアレはアンタのモノじゃない?」


「もう私には不要なものだ」


エミリーは執着していなさそうなオーロラをみて楽しくない


「アンタの〈ムーンブレイド〉を提督が発見したのは何年前だったかしらね?
 そのあと私が引き継いだけど、
 本当ならアンタが管理すれば良かったんじゃないの? 私に押し付けられて、いい迷惑だわ」


「エミリー・バリー、アナタはハード面
 わたしはソフト面担当だったでしょう?
 提督に言われたことを忘れちゃったの?」


「まぁ、おかげでカタストロフマシーンの研究成果も得られたし、ヴェスバーとか言うバカバカしい兵器の技術も得られたからトントン、てところねッ!

 それより連邦軍のモビルスーツ、ナパームを使うつもりね? ヤツらも本気だわッ!」


「キアラ奪取が困難になったから次のフェーズに移ったみたいね?
 “あの子”はそんなヤワじゃないわ」


「“あの子”だなんて!アンタまだあのマシーンに未練たらたらじゃない?」


エミリー・バリーは子供のような見た目に反して常に挑発的だったが、オーロラは特に何も思っていない様子だった……



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