ジェンダー・ギャップ革命
第5章 良人の娘と寝る女
「最近、私、初めて殺されそうになった」
「何をしたの、えれん」
「斎藤こうきの婚約者」
「やっと謝ってきたんだ?偉い偉い、英真ちゃんが可哀想だったもの」
「反省してるってば」
「そこからどうして物騒な流れに?」
「包丁持って追いかけてきたの、百目鬼さん。英真ちゃん達に聞いていたような人間じゃなかった、もっとサバサバしてる人だと思ってた」
「何、何の話?」
いくら酩酊していても、真智を蚊帳の外に出したまま盛り上がるほど、えれん達は薄情ではない。彼女にことの顛末を話して聞かせて、えれんの口は、昼間であれば慎重に扱う胸の内まで吐き出した。
「つい、カッとなったのぉ……あの男、織葉につきまとうようなことしたんだもん。婚約を撤回するなんて言い出したのも、織葉が原因に決まってる……人のものに手を出すなんて、犯罪でしょ?私があの子を愛しているの、あの子に愛されて良いのは私だけなのっ!」