ジェンダー・ギャップ革命
第1章 逆襲の女と家畜の男
「家内?」
「え、ええ……」
「それもこの間の議会で、差別用語と判定されたはずだけど?」
「あっ……」
「家内。つまり女は家にいるもの。この言葉、女性を蔑む言い回しよね?」
「申し訳ありま──…」
「それに、異性間での恋愛、結婚も、まともな人間ならしない傾向が強まっている。それをしていた貴方は、もう人間の言葉を話す権利もないんじゃないかな」
男がみるみる青ざめていった。
どのみち彼に逃げ道はない。厳密には、彼にもその配偶者にも救いはない。
それというのも、彼と婚姻関係を結んでいた女も、さっき別の独房に入れられていたからだ。彼女の罪は、異性愛。通常であれば黙認されるが、親しい身内が犯罪者であれば別だ。
「娘さんのことは心配しないで。孤児達の施設に送って、ちゃんとした教育や生活を保証する。だから貴方は、安心して子供を産むの。私達女が子作りの道具にならなくて済むよう、今度は貴方達、男が。……ね?とっても道理に適ってるでしょう?」
男は憔悴しきっていた。
当たり前だ。収容所に入ったのは、性的接待を受けるためではない。
この男の元配偶者も、今頃、ありあの同僚達が可愛がっているだろう。