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ジェンダー・ギャップ革命

第3章 道理に適った少子化対策



「神倉さん、大丈夫ですか?喉飴、召し上がります?」

「有り難う、今は遠慮するわ」

「神倉さん、本当に何であんなヤツに十二年も付き合ったんです?」


 英真としづやの好奇心が、えれんに集まっていた。


 それにしても彼女らが出勤していると、花が咲いたように事務所が華やぐ。

 母親は華族の末裔、父親も伝統ある党の役員である英真は、いかにも一般人離れしていて、その容姿はさしずめ地下アイドルの煌びやかさを盛り込んでいる。真珠の粒子を撒いたように炫耀する肌、濃く長い睫毛、綺麗にカールした焦げ茶の長髪──…同じ洋服を着用しているところもあまり見ない彼女が好むのは、Emily Temple cuteやPINK HOUSE、JILL by JILL STUARTなどだ。何より顔の造形が、破格に良い。

 しづやの方も、女好きのする佇まいだ。憂いを感じさせる表情や神秘的な眼差しが、彼女の無邪気な気性からすれば意外性があって好ましい、というのがいつか英真の話していたことだ。



「我慢していたわ」


 英真達の疑問にえれんの返した回答は、愛津が彼女に近付いたのに通じていた。

 平たく言えば、政務の勉強、そして人脈を広げるためだった。
 実際、さっき重光が糾弾していた公安も、最高位の磯部早希は、えれんと懇意の関係にある。磯部はえれんに協力的で、諸々の新体制にも賛同している。

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