真夏の夜の夢
第3章 第二夜
「ねっ?気持ち悪いでしょ?」
彼氏の悟にLINEで
白いモヤが写ってしまっている画像を送信したら、
すぐさま悟から電話がかかってきたので
紬はそう言った。
『ほんとだ…すっげえ気持ち悪いな』
ベッドに寝転びながら
「カメラの故障かしら?」なんて話していると、
またいつかのように、ギギっ…ギギギっ…!!と変な音がし始めた。
紬は悟と通話していることも忘れて、
その奇妙な音に釘付けになった。
やがてバーン!とクローゼットが開いて、
捨てたはずのロープが
クローゼットから飛び出してきた。
ロープは意志があるように
蛇のようにくねりながら
スルスルと紬の首に巻き付いてきた。
『紬?おい、どうした紬?』
通話が繋がったままのスマホから
心配そうな悟の声がした。
次の瞬間、
スマホは何かに弾かれたように紬の手から奪われ、
放り投げたように
壁に激しく叩きつけられた。
「く、苦しい!」
紬は必死に首に巻き付いたロープを解こうとしたが
じわりじわりときつくなってゆく。
そして誰かの手が紬の足を撫でた。
その手は人の温もりなどなく、
まるで氷で撫で上げられているような冷たさだった。
『紬!何かあったのか?
待ってろ、すぐそっちへ行くから!』
部屋の片隅に跳ばされたスマホから
悟の小さな声がしていた。