
マッチ売りの少女と死神さん
第6章 1月3日…あと刹那のその時まで
渋い顔で文句を言ったサラに、ホーリーが袖口のカフスを留めながら首を傾げる。
「最初はケーキを見て大騒ぎしてたのに? エイブルスキーパーとかいうんだっけなあ、スポンジの揚げ菓子みたいなの。 食べたくない?」
揚げ菓子。 甘い生地にたっぷりの砂糖をまぶしてあるその様子を想像して、サラのお腹がくうと小さく鳴った。
自らのお腹を慌てて手で抑えたサラが、ぼそぼそ口ごもりながら言う。
「おんぶは…いらないです。 大体、ホーリーさんにされるなんて、周りから見たら私、体だけ浮いてるみたいじゃないですか」
「グフッ、確かに。 じゃあ、お菓子は?」
ホーリーが黙ってしまったサラの向かい側に立った。
両手でサラの頬を挟んで上に向ける。
「サラちゃん。 君ってホントに他人に甘えるのも下手だよねえ。 昔は違ったよね?」
「べ…別に……そんな」
「それって、甘やかしてくれる人が周りにいなくなったからかなあ?」
何と答えていいのか分からない。 そんな様子で、自分を凝視してくるホーリーから目を逸らしていたサラがまたもや押し黙る。
「……昨晩のバスルームの時みたいに欲しいって言ってごらん?」
「…っ!?」
途端に顔から火が吹きそうにぼんっと赤面するサラだったが、ホーリーは至極普通の表情だ。
