
マッチ売りの少女と死神さん
第6章 1月3日…あと刹那のその時まで
「……ホーリーさんは、もし、私がミルクをこぼしたらどうしますか?」
「ん? 新しいのを出してあげるよお」
そう微笑まれて思わず胸が熱くなりかけるも、
「ああ、待って。 こぼれた白い……そうだなあ。 床に這いつくばってペロペロ舐めてくれるといいよねえ。 涙目で……こう、牝犬みたいにさあ?」
こもった笑いを堪えてから、朝陽を浴びてきらきらしたした表情で自分を見つめてくるホーリーに
(お、お父さん達より厳しいわ……!?)
ショックを受けたサラは青ざめた。
「……どうしたの? サラちゃん」
「やっぱり、お菓子もいらないです……」
しょんぼりした様子で目を伏せるサラにホーリーが言葉を続ける。
「んー、そう? おんぶといえば、それも……昨晩はサラちゃんにハメながらいっぱい抱っこしたの、嬉しそうだったねえ」
「は?」
今朝は珍しく穏やかだったホーリーが、唐突に怪しい記憶を辿りはじめ、目を空にさ迷わせる。
「こう、呂律回んない君がトロトロの顔して僕にしがみついてきたの、あれすごく可愛かっ」
「もっ、もう行きましょう!!」
窮屈そうに股間に手をやり始めたホーリーの顔色が変わらないうちに。
「おっと、思い出したら僕また勃」
「ホーリーさん! さあ、出掛けましょう!! さあさあ!!」
サラはホーリーの背中をぐいぐい押して部屋から追い立てたのだった。
