
マッチ売りの少女と死神さん
第6章 1月3日…あと刹那のその時まで
ホーリーにしがみついる間中、泣き止んだあともサラの心を占めていたのは罪悪感。
(何でローラちゃんの言うことをもっとよく考えなかったんだろう?)
彼はずっと痛かったはずだ。 なのに自分に気を配ってくれていた。 ホーリーに聞きたいことがたくさんあるのに言葉が出て来なかった。
そのうちにポツリとホーリーが言う。
「泣き止んだら少し……寄りたい所があるんだけど」
「……そこへ行ったらその後、ホーリーさんの家に帰りますか?」
「家? 冥界のこと?」
「はい。 ホーリーさんはここに居るから辛いんだって、ローラちゃんが言ってました」
「……そう」
心ここにあらずといった返事に、サラが彼から顔を離してホーリーを見上げる。
「ホーリーさん、私と帰りましょう?」
逆光のせいで彼の細かな表情が分からなかった。
「君と?」
「と、途中まで……? それは分かりませんけど。 そしたら血も止まりますよね? 元に……元気に戻るんですよね?」
「まあねえ……そしたら、僕はもう君に触れなくなっちゃうねえ。 それはいいんだけどね。 僕の最初も最後も、サラちゃんがいいんだよ」
ホーリーは笑っているようだ。
サラの胸がぎゅっと苦しくなった。
「でもさ、僕の望みはもう永遠じゃないんだよねえ」
サラを見下ろしていた彼が顎をあげ、視線を辺りの景色に彷徨わせる。
