マッチ売りの少女と死神さん
第7章 1月3日…ただ触れていたいから
「……将来は良い人と一緒になるといいねえ」
それきり話を止めたホーリーが勢いよく彼自身を引き抜く。
膣道を素早く移動した感覚に
「あ……」
思わずサラがため息を漏らした。
しばらくの間、自分の中を占領していたものが去り、一種空虚な感情がサラを包む。
内部が熱を持ち、形と感触が尾を引いている。
なのに背後からは何も聞こえてこなく、触れていた彼の腕も、今は緩くサラの肩に寄りかかっているだけで。
(なにか変なことを言ってしまったのかしら……?)
視線の先に彼の骨ばった大きな手や細長い指が見える。
この心細さの正体が何なのか、サラには分からなかった。
背中にホーリーの胸が当たっていた。
彼の体は少し冷たいといつもサラは思う。
手をそっと伸ばし、彼の手に触れてみる。
すると少しの後、サラの指先をホーリーが握り返した。
(あれ……)
………その瞬間に、胸がきゅっと締め付けられるような痛みを感じた。
それと同じく気付いた自分の心。
「養女の話、受けるんだよねえ。 きっと全員にとってそれがいいよお」
ホーリーの言葉が他人事のように耳に響く。
(私の将来に……この手は…無いんだわ)
そんなことにようやく思い当たり、サラは自分の新たな生を喜べなかった心情を振り返る。