マッチ売りの少女と死神さん
第7章 1月3日…ただ触れていたいから
ホーリーから与えられた得体の知れない官能や情に溺れ、このままでいたい……といつの間にか願っていた。
それは甘えや怠慢というよりも、
(寂しさ……)
だって自分はこんなにも彼のことが気にかかっている。 サラの鼓動がトクトクと鳴った。
今朝、じきに彼の姿が見えなくなると聞いた。
それでもと
「わ、私は……また、ホーリーさんに、会えますか……?」
さりげなさを装い尋ねてみた、自分の声は震えていた。
「なんで? そりゃ無理だねえ」
間を置かずに言われ、またもやチクリと胸を刺す痛み。
「あ…愛」
そこから先は言葉に出来なかった。
(……愛してるって言葉も、思いやりも……くれたのに?)
……宿の階下から、艶やかで踊るような楽器の音色が耳を掠めた。
ホーリーの静かな声と混ざる。
「ピアノかあ。 食堂の横らへんにあったっけ……そういえばサラちゃん、昔は弾いてたよねえ?」
「は……はい。 おばあさんに教わって」
「僕も弾けるよお? 見よう見まねだけど……そしたら一緒にね、君とおんなじ時間を共有してるみたいに思えてさあ」
クスクスとホーリーが笑う。