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マッチ売りの少女と死神さん

第7章 1月3日…ただ触れていたいから



……サラの気持ちの行き場がなかった。

彼が自分を本当に思ってくれているのが分かる。
『もう会えない』再会はホーリーの望む所ではないらしい。
死神と、死から離れつつある自分。

遠い世界からやってきて、自分を生かせてくれたであろうホーリー。

それを望まなかったなんて言えるわけもない。


「…ホーリーさん…あの、ずっと話を逸らしてるみたいですけど、もしかして……家に帰るのが嫌なんでしょうか?」

そしてサラはずっと不安に感じていた。

彼は自分に関して肝心なことを話したがらない。
体もあまり見せたがらなく、今も、明るい所ではいつもシャツを羽織っているし、やはり無言だ。

「ホーリーさん。 ちゃんと冥界に帰るんですよね? 帰らないと」

曖昧なホーリーの言動から、彼は元の世界に帰るつもりはないのかもしれないと思っていた。

「……僕みたいな存在は消えてなくなるんだろうねえ。 先代の死体なんて見たことないし? それは何となく分かるよお。 けどさあ、どちらにしろ、サラちゃんからは僕の姿はじきに見えなくなるし」

『消えてなくなる』その単語にサラが恐ろしい気持ちになりぞっとした。

墓碑さえない、神と名がつくのにあまりにも儚い最期。


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