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マッチ売りの少女と死神さん

第8章 1月3日…お別れの調ベ 前編



「……サラさん。 あなたはおばあさんによく似ている。 いつも自分はこうあるべきという思考に囚われて、他人に弱みを見せないでしょう」

「確かそれと似たようなことを……言われたことがあります」

ホーリーに。
湯を注ぐティーポットから勢いよく湯気があがった。

「ええ、とても素晴らしいことですが、あなたはまだ15歳です。 先ほどお話したように、決して礼を受け取ってくれなかったおばあさんに対し、実は、私はいつも寂しい思いをしていたのです。 きっと、今の私とローラは似たような気持ちなのだと思いますよ」

氏の言葉にサラが首を傾げる。

「………私は…ローラちゃんを、寂しくさせたんですか?」

優しくて、頭の良い子。
自分のそんな言葉がローラを縛った?
ローラに好きと言われて嬉しかった。

(だから、だから私はローラちゃんの重荷なんかになって欲しくなくって……あれ?)

そこまで考えたサラが昨日から、ホーリーとしていた会話を辿った。

『ホーリーさんは優しくて強い人だわ』

彼に対し、何度そう言っただろう。

「サラさん?」

突然動きの止まったサラにクラース氏が不思議そうな視線を寄越す。


サラは必死に考えていた。

自分を愛していると言っていたホーリー。

それをローラちゃんの理論に当てはめると、私の前ではいつも優しく強くあらなければならないと、彼を追い詰めていた……とか?

彼が弱みを見せることを私が、私自身がいけないと縛っていた……とか?


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