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マッチ売りの少女と死神さん

第9章 1月3日…お別れの調ベ 後編




────セックスと音楽って似てるねえ?


「………?」

演奏を止めたホーリーがゆっくりと立ち上がる気配。 それと共にサラの足が床に着く。
下着をあっという間に引き下ろされる。
蜜口にぬるりと押し当てられる熱。
何度も受け入れたサラはその感触を嫌という程知っている。

「…っ……」

反射的に引こうとしたサラの腰を彼の手が寄せ、抗う間もなく繋がっていく。
今のサラに無理のない所までそれが進む。
穿つ深さが増すと同時に増える息苦しさ。 それが引かれる時の切なさ。 その境目がおぼろげになる頃に溶けてあふれ出す。

彼の動きは優しかった。

浅く忙しない彼女の呼吸が、途中で詰まったり悲鳴に変わったりしないよう、礼儀正しくサラを扱った。
自分が欲しいものはこれだったのだと、サラはようやく理解した。
そこには激情も羞恥も不穏もなく、肌や粘膜を通して伝わる、慈愛に近い想いだった。


「ぁ、あ……」

サラはその儀式を妨げないよう、密やかに息を吐いた。
ホーリーに自分の悦びが伝わるよう、緩やかな抽挿を繰り返す彼の一部を柔らかく受け止めた。

彼女の体は途中までで侵入を阻んでいたが、挿入を小刻みに揺らされれば、そこはとろりと蜜を溢れさせてしまう。
サラの求めるまま、無理をせずに繋がりが進む。

彼の口は卑猥な言葉を紡ぐことをせず、サラの肩や背中にキスをするか、さもなければ時おりお喋りすることに使われた。


────形になるって、こんな感覚なんだねえ。


「形……?」

恍惚とサラが訊き返す。
入り口まで抜かれ、サラの内側が名残惜しげにきゅううっと引き締まる。
ホーリーの手のひらがサラのお腹を撫でていた。

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