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マッチ売りの少女と死神さん

第3章 1月1日…死神さんに注がれています


辺りをつんざく悲鳴が響きわたる。
サラは背後で何か、とても恐ろしいことが起こっていることだけは分かった。
トーマスの顔を見ているらしい二人の男の顔色も悪い。

ぐちゅぐちゅっ。

「オレノ…っじり、しりガアアアッ!!!」

ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅっ!

(な、何かを混ぜる音………?)

真っ青になり、この場から逃げ出そうとする目の前の男性たち。

「ギャアアアアアッ」

という悲鳴とガタン! と崩れ落ちる大きな音。
それと同時に、サラの目線の下の床の上に、赤黒い血痕がビチャッと飛び散った。

「う…ウゲエエッ!!!」「ば、バケモンだ! ここには化け物がいるっ」そんな台詞とともに男性たちが店の外へと飛び出していく。

「えっえ。 あのっほ、ほ、ホーリー…さ…」

サラは震えて後ろを振り返ることが出来ない。

「ググフフ……っフフフッ! アッサリ裂けちゃったあ…これ、もう使い物にならないねえ……アッハハハ」

立て続けにゴッ、ゴッ、ゴッと固いものを蹴る音。
ホーリーの楽しそうな高笑いから、事の次第をおぼろげに理解したサラだった。

「も、もう止め……っ!!!」

サラが意を決し、無理やり後ろを見ようとすると、それを遮るようにホーリーが立っていた。
ほんの少しだけ自分の肩越しに見えた。
トーマスは血溜まりの床の上で、下半身を丸出しにした状態で、失神しているようだった。
ピクピク動いている様子から、どうやら生きてはいるらしい。

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