
マッチ売りの少女と死神さん
第3章 1月1日…死神さんに注がれています
ホーリーの言葉は不可解だったが、サラはおそるおそるそれをつん、と舌先に滑らせてみた。
「………? あ、甘い……?」
それは砂糖よりもスッキリとした、花の蜜のような味。
ホーリーは彼女を見つめていた。
「な…何ですか? これ」
「美味しい? もう少し舐めてみて」
………ぺろ。
「もう少し…なんていうか。 先っぽの方……そう、そこから真ん中まで」
………ぺろぺろ。
「舌を滑らすように…うん、そう。 あっ、そのへん、チロチロ舌先でくすぐって」
(?………何だかいやに指示が細かいわ)
「うんうんっ…そう……そのまま…先っぽを咥えてみて? ああサラちゃん、上手だよお…」
「………もご、ほ、ほーりーひゃん?」
「ん?」
サラが、ぷは、とそれから口を離すと、肩越しにホーリーをじっと見た。
「なんかまた妙なこと考えてませんか……それから、なんだかこれ、トロトロしてきたような…」
「いけない、いけない。 つい」
何が『つい』なのかしら。 サラはようやく思い当たった。
ホーリーがこんな風にうっとりと熱っぽい眼差しをして、青白い肌をほんのり上気させ……それをおし隠すように、眉をひそめ口を僅かに開く。
こんな時の彼は大概、いかがわしく、かつよこしまなことを考えているということに。
