
マッチ売りの少女と死神さん
第3章 1月1日…死神さんに注がれています
波が引いていくが熱は残っている。
出し切ったであろう剛直が、塞いでいた入り口から抜けた感触がする。
「ふ…いっぱいイケたねえ? セックスって気持ちいいねえ……」
足の間から、生暖かい体液が溢れ出て腿に伝う。
「………ところで────…」
ホーリーが何かを言いかけ、その直後に、全身の力が抜けたサラは一瞬、意識を手放した。
それはほんの少しの間だったが、初めて性を無理やりこじ開けられた少女には、過ぎたものだったのだ。
……遠くからホーリーの声がサラの耳に響いた。
「まだ体がツラいはずだよ。 そのまま膝を曲げて、体を丸めててねえ。 その間にロープを外してあげるから」
サラは彼の言う通りに動かずにいた。
もたもた動いている気配はするものの、なかなか外れない。
彼は案外不器用なようだ。
そんな彼に、気だるさの中で何度か口を開こうと試み、サラは途切れ途切れにホーリーに話しかけていた。
「……ホーリーさん……あの…その人、を助けないんですか……?」
ここからは影になっているが、サラは倒れているトーマスのことが気にかかっていた。
「どうせ死んじゃうよお? ………君のそういう所はイライラするねえ。 君を襲おうとした奴だよ」
(実際に襲ったのはあなたなんですが……)
イライラすると言われ、傷付かなかったわけではないが、サラは負けじと彼を非難した。
「…ホーリーさん…は何とも、思わないんですか」
「僕が? あはっ、あんなのより、もっと悲惨なのを日に何百も見てるのに」
「………」
(だから彼の『好き』は、違うのかしら)
ため息混じりのホーリーの声に再び薄目を開ける。
「ふう……君のお陰でまた台無しだ……僕は理由を探さなきゃならない。 でなきゃきっと同じことの繰り返しだなあ」
理由………? 相変わらず彼女にはホーリーの言葉の意味が分からなかった。
(それにしても、ホーリーさんがしたことは行き過ぎだわ)
そして目の前で死にかけている人がいるというのに。 自分は何をしていたのだろう。 今さらながらサラは居たたまれない気持ちになった。
「………私、それが解けたら、人を呼んで来ますから、ホーリーさんは先に」
