
マッチ売りの少女と死神さん
第3章 1月1日…死神さんに注がれています
「そりゃあねえ…鳥や犬だって違うし、天使は雌雄同体たから両方あるし。 ささやかな違いだよお。 サラちゃんはどっちがイイんだろうねえ?」
サラは顔を赤くしながら無言だった。
死神とはみんなそうなのだろうか。 サラは昨晩から断片的に見たものを頭に浮かべていた。
ホーリーのものは中央がくびれている。 そして大きいせいかずっしりして重そうだ。
お父さんのは確かずっと同じ太さだった。
(トーマスさんも驚いてたし、中に注がれる感触も……かしら?)
サラは今更のように呑気に彼の体液を受け入れてしまったことに気付いた。
「………」
(そして、若そうにみえて実は、ホーリーには奥さんや子供などがいたりする………?)
加えて自分が彼について何一つ知らないことにも。
「わ……私が普通だったら、もしも死なないんなら、赤ちゃんが出来たりしたんでしょうか」
一応、彼に聞いてみた。
「出来ないよ」
しらっと即答されたのでサラは戸惑った。
「え、で……でも」
「僕は人から生まれたわけじゃないから……さて。 やっと解けたねえ。 君の手足の先が冷えてる。 一緒に宿のお風呂でも入ろうかあ」
なるほど、確かにマリア様も清いまま受胎したのだわ。 とサラは思うも。
「え? 一緒……はちょっと…いやです」
言いづらそうに答えると、ホーリーが至極不審そうに首を斜めに傾ける。
「だってまだ体はシたいでしょお?」
(あれを? 続けざまにも、もう一度?)
サラはめまいがしそうになった。
「ほ、ホーリーさんこそ、何でそんなにしたいんですか」
「ひと言でいうなら愛の深さだねえ。 僕の性は君のためのものだから。 分かるよね?」
両肩に手を置かれてにっこり微笑まれる。
元々垂れ目がちの目がなだらかなカーブを描き、その時の彼は無邪気という言葉がぴったり当てはまる。
(………まったく分からないわ)
諸々と。
サラはあ然として首を横に振るばかりだった。
