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マッチ売りの少女と死神さん

第4章 1月1日…それはかわいい君のせい


最初、この少女は怯えた顔で自分のことを見ていた。
今まで、官能に浸る表情はもちろん、こんな風に怒るサラもホーリーは見たことがなかった。
自分が見落としていたのか、もしくは他人には見せない彼女なのか。
……ホーリーは感慨深くなり、サラに向かって微笑んだ。

「一体、君はいくつの顔があるんだろうねえ」

「え……?」

「わざと話を聞いてないわけじゃないんだ。 僕は会話に慣れていないから、どうしても反応が冷たかったり鈍いんだよ」

「はあ……」

サラは要領を得ない、といった顔でホーリーを見上げた。

「サラちゃんは夜出かけたいの?」

「いいえ、だってさっきみたいに、ホーリーさんは来ないのでしょう? 私を助けてくれたのはホーリーさんだもの。 私だけお呼ばれされるのは違うわ」

「そ、それはつまり、僕と一緒にいたいってこと……?」

ホーリーの胸が熱く疼く。
彼としてはここが限界だった。

「え? それも違うんですけど」

などというサラの言葉も都合よく耳を素通りしていく。

「えっ、ちょっ」

サラのショーツの布地にゴリッと剛直の先を押し付け、すると彼女が驚いた声をあげた。

「あっあっ! 待ってホーリーさ…ひあっ」

その先を言うより早く、サラの首すじに歯を立てる。

「痛っ……!」

すぐに謝罪するかのように、つけた跡を優しく舐め上げると、サラの手がホーリーの胸を押した。

「や、やめてくださ……嫌です…」

「いや? 何がいやなのお?」

耳元で甘い声を作って吹きかけるとサラの体が細かく震えた。

「そういのは、もう……ホーリーさんが…怖い…今は、時々ですけど」

泣きそうな表情で俯いて言う、サラの反応にもゾクゾクする。
それでも、突然噛んでしまったので、驚かせ過ぎたのかもしれないとホーリーは考えた。

「動物的には、愛情表現なんだけどなあ」

「……人間が甘噛みで表現しないでください」


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