
マッチ売りの少女と死神さん
第4章 1月1日…それはかわいい君のせい
先に服を脱いだホーリーは温かい湯船に身を沈めた。
冥界では気が向けば、湧き水を浴びていただけだった。
この世界の風呂とはいいものだ。
人よりも暑さ寒さに強いホーリーでも、浮力に身を委ねるのは面白いし、ほっと力が抜けるのを感じる。
「……お邪魔してもいいですか」
浴室の向こうでおずおずと控えめな様子で聞いてくるサラにまた笑いそうになった。
「僕が誘ったんだよお。 おいで」
外へ引くドアから、ちょこんと顔をのぞかせたサラが無言で彼を見ていたので、ホーリーは素直に彼女と反対側に顔を背けた。
湯船の前を空け、彼女が入るスペースを作ってやる。
すると浴室に足をつけたサラが、ぺたぺたと近付いてくる音が聞こえた。
そしてお湯に入ってきて、彼女が後ろ向きに座ろうとする瞬間にホーリーは顔を戻した。
それはもちろんサラのお尻を鑑賞するためだ。
つるりと白く、小さくて丸い。
「かわいー……」
つい、むにゅっと両手でつかんでしまい、「きゃあっ!?」とサラが悲鳴をあげる。
腕を伸ばしすぐに遮ろうとしてきたが、ホーリーは構わずそこに顔を近付けた。
「あ……っ、やあっ…だめ!」
ちゅっ、ちゅっと音を立てて、キスをしながら揉んでいたが、サラの体が冷えているのに気付いた。
「サラちゃんもあったまろう」
そう言ってサラを引き寄せる。
お湯に浸かったサラがほう、と気持ち良さげに息をついた。
ところで……ホーリーは宿に戻り、ここまでの間に、あることを考えていた。
「うう……み、見ないって言ったのに。 あれ? このお湯なんか、変ですね。 濁って白いですし」
「そう?」
ホーリーはとぼけて言った。
