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マッチ売りの少女と死神さん

第4章 1月1日…それはかわいい君のせい



「ふう……僕さあ、君の泣き顔は大好きなんだけど……」

「な…泣き顔って?」

サラがトボケて目元を擦っているが傍から見るとバレバレなのである。

「何だろうね……昨晩から今も、落ち着かない気分だよ。 僕が知ってる君は、女性らしくなってから泣いてばかりいたから。 ああ、昔は違ったけどね」

ホーリーの不機嫌そうな口調に、サラは下を向いて口を閉ざした。

「すみません。 私、年甲斐もなく、ついはしゃぎすぎてしまって……」

そして小さくなりホーリーに謝る。

「は、年甲斐? 15歳の女の子がはしゃいで何が悪いのさ」

そう言われたサラは混乱したみたいにおろおろした。
ホーリーがふいっとまた窓際に目を移した。

「……君が寒くなきゃいいんだ」

ボソボソと言い、サラがそんな彼をじっと見る。

「はい……きっと凄くあったかいです」

嬉しそうに、とても嬉しそうに微笑んだ。


ホーリーはしばらくぼんやりとしていた。
そのうち何かを思い出したようにふと、サラに目を戻した。

「それで……実家のことで聞きたかったのはさ。 君はわざとお父さんにぶたれてたよね?」

唐突なホーリーの問いに、サラが要領を得ない顔をする。

「……え?」

いっそ訊かないでいようともホーリーは思っていたが、おそらくこれが自分の憂いに対する鍵だ。

「お母さんが無くなったあとの……お父さんの愛人のことも嫌ってるよね。 僕はそういうことだけは、なんとかく分かるから」

サラの表情が緊張に固くなった。

「……一つだけ、聞いていいですか」

「うん」

「私のことを…いつから知ってるんですか」

「生まれた時から……正しくは…とにかく、全てを知ってる」


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