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女勇者アンの、華麗なる災難!

第1章 女勇者 アンの誕生と過去の悲話

――6年前

「くぅっ」

「どうした、その程度か!?」

グッと握り締め、振り下ろした剣をいともあっさり受け流される。
私よりもずっと背も高く体格も良い彼は、力も強くて身のこなしも優雅。

けれども、ようやく追い付いてきた実力でいよいよ……一本が、取れる!!



「今度こそ、もらいましたぁ!!」

「アンアン!」

「っっっ!!」

不意に名前を呼ばれ、一気に全身が緊張して強張る。いや、緊張なんかじゃなくて、抵抗感というか、嫌悪感だ!


「隙ありっ!」

「きゃああぁぁっ」

彼の手の平から放たれた波動で、私は数メートル先まで吹き飛ばされてしまった。
完全に油断、いや、ズルいってやつだ!



「まだまだだな。
お前は致命的な弱点が克服できていない」

「いたたた…
もぉっ、急に私の名前を出すなんて卑怯ですよ、師匠!!」

「師匠が弟子の名前を呼んで何が悪い。
と言うか、何を自分の名前で怯む事がある」

「ありますよ!!
その名前で呼ばないで下さいーっ」


……そう、私は名前にコンプレックスを抱いている。

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