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身近な練習相手

第6章 もっと身近な異性

妹は、その姿勢のまま体を丸めて、もう一度菜園の野菜を見た。覗き込むように野菜を見ながら、

「あー、なんか虫が付いてる!」

と言った。僕も見ると、何かの幼虫らしきものがミニトマトとナスの葉に付いている。僕は、

「本当だ!所々、葉っぱが食べられて穴が開いてる!」

と言った。妹は、

「この虫捕らないと食べられちゃうよね!」

と言って、土の上に落ちていた短い枝の切れ端みたいな棒を拾うと、葉っぱについている幼虫を突付いた。

「ダメだよ〜!こんなところで食事してたら〜!」

と言って、グイグイ突付いて土の上に落とした。

僕は、その様子と妹の肌色の背中を交互に見ながら、

「なかなかしぶとく食らいついてるね〜!」

と言った。妹は、こちらに背中を向けたまま、小刻みにちょこちょこ動きながら、

「まだ、結構いるみたい!」

と言って、葉の裏側など丁寧に見ていくと、

1匹、また、1匹…。5、6匹はいる。妹は、それらを全部地面に落とすと、両手で土を掘り始めた。

そして、ドンブリくらいの大きさの穴を掘ると、

「こっちだよ〜!」

と、土の上に落ちている、のそのそ動く幼虫に呼びかけながら、棒で幼虫を穴の方へ寄せた。幼虫は丸まりコロコロと簡単に転がるため、穴の近くまで直ぐに寄せることが出来た。

そして、1匹、また1匹と穴の中へ落とした。全部を穴に落とすと、

「かわいそうだけど、えいっ!」

と言って、手で周りの土を寄せ、穴に土を被せて埋めると、上からポンポンと叩いて固めた。

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