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「シャーク×サルベージ」

第2章 「シュルフ・ルソン」


「おかえり、エイプリル!ナオト!」


ふたりが店に戻ったとき、ちょうどフィンは常連の地元サーファーたち数人と談笑しているところだった


「早かったな」


「お爺さんに捕まってました…」


「工房の? ハッハッハ! 彼は話し好きだからなッ!」


「せっかくナオトに街の案内してあげようと思ってたのに!
 ナオト、今度は島へも行きましょう!」


「ああ、そりゃあいい!
 ベル=イルの牡蠣は素晴らしいんだ!
 島にはサーフィンポイントも有るし、カヤックやスキューバ、パドルなんかのマリンスポーツも有るし、ゴルフや乗馬も出来るぞ!」


「乗馬! 乗馬もあるんですか?」


「ナオト、あなた馬に乗れるの?」


「前に牧場でホームステイしてたんです
 前って言ってもほんの数ヶ月前のことですけど…
 そこで猛特訓受けました」


「へぇ、凄いじゃないか!
 乗馬施設が有るのは知ってるけど俺は乗ったことがないな
 それで馬の次にサーフィンでエイプリルにしごかれてるわけだな!」


「失礼な言い方ね」


「サーフィン楽しいですよ、シアも習ったら良かったんだけど…」


「シア? 友だちか?」


「いえ……妻です」


「ええッッッ!!!??」


「ナオト!あなた結婚してるの?」


フィンとエイプリルは声を出して驚いた


横で話しに加わっていた常連客も驚いている

アジア人は若く見られるものだ
ナオトも周りから見れば思春期の子供のように見えるのだろう


「でも、たぶんシアは海には入らないだろうな…」


ナオトは白い肌のシンシアが灼熱の日差しを浴びる光景が想像出来なかった


その間にフィンとエイプリルはゴニョゴニョと内緒話しをしていた

「アジアの国って子供のときに結婚の儀式があるの?」


「そんな未開の国じゃないだろう?
 原住民じゃあるまいし」


「な、ナオト!良かったら今度奥さんも連れて来てね!一緒に夕飯を食べましょ!」


「ええ、是非! じゃあ、ボクはこれで!」



ナオトは皆に手を振って、店を出た



「あー、驚いた!」


「本当に! 子供かと思ってたのに!」


「俺もアジアからの留学生だと思ってた!」


「奥さんも若いのかしら?
 本当に会ってみたいわね」


「俺、なんだか怖くなってきた
 どうしてだろう」

フィンは困惑した

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