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「シャーク×サルベージ」

第2章 「シュルフ・ルソン」


キブロンは細長い半島だ


サーフショップ“シュルフ・ルソン”は波の高い大西洋側にあるが、半島の反対側は波の少ない大きな湾になってる

ビーチやホテルが並ぶ高級リゾート地なのだ


大西洋側は人も少ない岩場ばかりの景勝地で人影もまはらだが、反対の湾内は白い砂浜がずうっと続き観光客がたくさん出歩き、夏の時期は常に渋滞している


「こちら側は大きな街なんですね」


「お店がたくさんあるわよ、今日は修理に出していたボードが出来上がったので取りに行くの
 アナタこちら側に来た事無かったの?

 もしかしてアンリのチョコレート店も行ってないんじゃない?」


「チョコレートの店?」


「そうよ、高級なチョコレートで有名なの!
 そこの塩キャラメルは絶品よ
 帰りに寄りましょう!」


「チョコレートの店に、塩キャラメル?」


「近くのグランドの街は塩田が有名なのよ!
 天然の精製されてないものが手に入るの」


若くして空軍に入隊していたナオトには知らない事ばかりだ


「早く終わったら“ベル=イル”まで行きたいんだけど……あそこの市場はたくさん物が有るのよ」


「“ベル=イル”?」


「半島の沖合いにある大きな島よ!
 “ベル=イル=アン=メール島”
 海老や牡蠣もあるし、スパイスの品揃えも凄いの!
 キブロンの街から船で渡るのよ」


だがエイプリル夫人の願いも虚しく、サーフボードの修理工房のお爺さんが話し好きな方で、あっという間に2時間ほど経っていた


帰りに食品スーパーやら雑貨を揃えて2人は帰ることにしたのだった… 


「もう少し時間があったら色々と案内出来たんだけど…」


エイプリルは本当に残念そうだ


遠くから来たであろうアジアの少年にもう少し構いたかったようだ


「街も楽しかったし、今度は島も行ってみたいな」


「島にもホテルや港町があるわよ、でも平たい土地なので森とか山は無いの

 奇岩とかたくさん見れて晴れていてら楽しいわよ」


「晴れていたら?」


「雨だったら…、何処にも行くところが無くって、島中の観光客が本屋に集まるの!
 することが無いから皆読書するのね!」



エイプリルは笑った


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