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「シャーク×サルベージ」

第4章 「ハマム」


ジェムは小柄な女性でミアやサーシャと変わらないぐらいのティーンエイジャーに見える


ハマム後の濡れた髪が艷やかだ


ジェムはナオトに話しかける


「アサイラム・コロニーでは宇宙空間の岩石小惑星や氷結小惑星を接続した採掘コロニーや蒸留設備のコロニーが接続されているのよ」


「ぼくもサイド1に短期間だけお世話になってたよ、ジェム

 居住区のロンデニオンだけでなく軍事演習向けの廃棄コロニーでサバイバル訓練も受けた
 そこではジャングルや滝や小川なんかもあって、これらの自然はどこから来たんだろうと不思議に思っていた」


「おそらく過去に小惑星を接続していて資源を得ていたのね

 私が仕事に就いていたのは氷結小惑星から水と酸素を得る蒸留コロニーなの

 そこは巨大なコロニーを幾つかのブロックに分けて、海のように水で満たしたりしていたのよ」


サーシャも驚く

「へぇっ! 水タンクのコロニー! 凄い!」


「宇宙空間で凍った小惑星は一度には溶かさず、少しづつ削って必要な分だけ水の状態にして、循環させたり、魚を飼ったりするの!
 別のブロックでは氷から酸素を取り出したりしているわ

 でもキベロンに来て本当の自然の雄大さには感動したわ! おそれてしまうぐらいだわ」


「どうしてジェムは宇宙から地球に降りてきたんだい?」


ナオトは宇宙生まれの“スペースノイド”の少女に問いかけた


特にこの時期、2度に渡る〈地球寒冷化作戦〉により地球から脱出する人々のほうがはるかに多かったからだ



「わたしの先輩……、元上司が先に地球での調査に降りていたのだけど、行方不明になってしまって…

 それを引き継ぐために直近の部下だった私がこっちにまわされたの…

 それは先輩の研究対象が原因らしくって……」


ジェムは伏し目がちに表情を暗くした……





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