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「シャーク×サルベージ」

第4章 「ハマム」


「ジェム、その先輩が研究していたのって、何なの?」


エイプリルもチャイを飲みながらジェムに問いかける


「まだ……、

 公表はしてないんですケド…、

 氷結小惑星を溶かしている作業中に

 氷の中から、いろんな生物が氷漬けの状態で見つかって……」


ミアとサーシャは目を向いて驚いた


「ええっ! それって宇宙人の死体とか!?」

「冷凍保存されて宇宙空間を漂流してたのね?」



「いゃあ、さすがにそんな事ではないんですが

 おもに海の生物ですね、

 魚とか、カニとかね

 凍結されて中から出て来たの


 先輩はその調査を任されていたんですよ」



「どうして宇宙空間の小惑星にそんな海の生物が閉じ込められてるっていうんだ?」


「おそらく……15年前から始まった
 〈コロニー落とし〉

 その衝撃は大気圏上空にまで塵を巻き上げたと言われていて、数ヶ月雲より高く舞い上げた、
 というのが定説です

 先輩はそのときに、海の生物が衝撃で上空まで巻き上げられ、宇宙空間で冷凍保存された、

 と考えていました」


「そんな事が?? 本当に??」


「ええ、まわりから突拍子もない仮説だとも言われていました

 でも、どこか遠い宇宙空間から漂流して地球圏にやってくるほうが、よっぽど滑稽でしょう?」


「どうなんだろうね?
 確かに落下地点は蒸発したと思うけど、衝撃波はその周囲に巻き起こったんだろうけど……」


「で、そこまでの仮説もかなり問題視されたんだけど……」


「ジェム? まだ有るの?」


「信じてもらえないと思うけど、

 現世よりもっと太古の生物が見つかったの

 それが問題で……」


「どういう事?」


「太古の地球に落ちたものって、隕石とか?」


「隕石程度の大きさでは宇宙空間にまで巻き上げられないわよ? 小惑星クラスでないと……」


「それって、

 もしかしてユカタン半島に落ちた例の?」


「そうなの、白亜紀を終わらせたと言われる、例の小惑星落下事件

 そのときに巻き上げられて凍結した可能性

 それが先輩の研究だったの」


ナオトたちは目の前の若い研究者がゴシップなタブロイド紙ばりのトンデモ論を繰り広げている事に半信半疑だった……


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