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「シャーク×サルベージ」

第5章 「メガロドン」


すべての駆動を停止、最低限の酸素供給だけにするとコックピット内も真っ暗になり、かろうじて手元のディスプレイと目の前のモニターの光りだけの暗闇に包まれる


シンシアが振り返るとジェムの顔がぼんやり浮かんで見える


その笑みはとても恐ろしく見えた


「作り出した、てどういう意味?
 ただの生物じゃないって言うの?」


「……氷の小惑星を蒸留中に何かしらの生物が発見されることはたまにあるわ
 でもそれは現世のものがほとんど
 氷から発掘した太古の生物なんて稀なの
 当然ソレは研究対象になるわ
 中には細胞組織が腐敗していくだけのものもあるけど、あの子は行き続けたのよ」


「そういった研究があることは知ってる
 シベリアで凍結したマンモスの復活計画とかあったわよね

 気になるのは……、どうして宇宙のコロニーで研究されていたものがこの地球にあるのッ!?」


「シンシアさん……、あなたも一時期宇宙に上がっていたんじゃないの?
 それならわかるでしょう?
 コロニーの民衆は皆が連邦政府に従っているわけじゃないのよ?
 反発した民衆は連邦側よりも多いの」


「ジェム、あなた……、〈キサンドリア〉に参加してるの?」


シンシアは宇宙から地球に戻ってくるときに襲撃された“反地球連邦組織”の一派ジオン軍の支援組織を思い出した


「同じようなものよ、スペースノイドはアースノイドに一矢報いる気持ちは誰にでもある
 月面の〈キサンドリア〉だけでなく、わたしたちのコロニー〈アサイラム〉でもね!

 ダイクンの忘れ形見は地球を人の住めない惑星にしようと立ち上がって失敗したわ

 軍事行動だけでは抑えられてしまうのがわかったわ
 だからわたしたちは別の方法を取ることにしたの……」


「生物兵器作戦か…」


「肉食動物たちを解き放ち、直接人間を襲うも良し!海域に居る魚たちを喰らいつくし生態系を変えて食糧難に導くも良し!
 地球に人が住んではいけないのよ、シンシア」


ジェムはニヤっと笑った


シンシアは背筋が凍りつく


この閉ざされた密閉空間にサイコパスとふたりっきりとなる恐ろしさ!


「ジェム…、あなたおかしいわよ……?」



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