「シャーク×サルベージ」
第5章 「メガロドン」
ダニエル機のコックピットに警告音が鳴り響く!
ブーー!ブーーブーー!
「……またアイツかッ!?」
ダニエルは暗い海の渓谷の岩場を背にする
まわりは暗すぎて何も見えない
ソナーには点滅する反応が近付いてくる
ダニエルは視認性を上げようとライトというライトを点灯させ正面に集中した
メインカメラ用のライト、背面から伸びるアーム式ライト
それらの輝度を最大レベルまで上げる
さきほどより少し先まで見える
ダニエルはビームサーベルを抜き、大量の泡を生み出しながら敵が迫るのを待ち構えた
そこで安心してしまったのがダニエルの誤対応だった
見えたからどうなるというのか?
シンシアがすべての機器を停止させ、息を潜めたのとは逆に、ダニエルはすべての機器を活発化させた
それは自ら目印としてしまっていることに気付いていなかったのだ
ダニエルが最期に見たものは、正面から突っ込んでくる巨大な口の中だった…
口腔には牙のように尖った歯がズラリと並び、それが機体ごと噛み付く
噛みつかれた部分は引き千切られ、コックピットごと咥えられる
機体の頭や腕は衝撃で引きちぎれ
下半身に当たるブースター部分は時間差で燃料タンクに引火
爆発した瞬間、深海の水圧で爆縮してしまった!
コックピットの中に居るダニエルはすべての機器が停止し、ディスプレイもブラックアウトし、室内の照明も消えて暗闇の中にいる
さらに浸水が続き、あっという間に腰まで水が流れ込んできた
メキメキッ!
コックピット周りのフレームは強固とは言え、深海の水圧には耐えられない
すでに脚まわりは機械に挟まれて動けない
ガチガチと動かすハンドルグリップに意味はなく、だた腕を動かす事しか出来なかったがそれも内壁が内側に押し潰されて腕、肩、胸が機器に押されてくる
かろうじて頭のまわりは空気の圧力のおかけで浸水を食い留めてくれていたがそれも長くは続かない
ガシャーン!ガシャーン!と鈍い音がする
マリン・ジェガンの装甲であったものが次々と中心のコックピットに押し寄せてくる
ドーーーン!と大きな音のあと、自分の腹に何かが刺さっているように思うが、もう首から下は機器に挟まれて身動きが取れない
残酷なことにまだ数分間ダニエルは行き続けてしまった……