「シャーク×サルベージ」
第6章 「ラスト・ダンス」
ガチャリ!
ドアノブをひねる音がして、勢いよく扉が開いた
フィンだ
「なんだ2人共ここに居たのか」
ナオトとエイプリルはTシャツのラフな格好でコーヒーを飲んでいた
「フィンさん、ボードのワックス掛けは終わりました、 みんな酷いよね? ほったらかして帰ってしまうんだから!」
「サンキュー、ナオト」
「今ナオトの前の職場の話しを聞いていたところよ」
「そうか、空軍だったよな? 俺も昔はモビルスーツ乗りだったんだぜ?ナオトはモビルスーツ乗れるのか?」
「それは初耳ですね!ボクはロンデニオンで講習は受けましたけど……
脚があるのはニガテですね……
飛んでるほうが性に合ってるみたいです」
「退役したんだろ? まだ飛びたいか?」
「うーん、大きな事故を起こしてから退役したので…
退役後の講習はリハビリみたいなものでしたし、もう身体が耐えられないかもしれません
シアからも……、奥さんからも止められています」
フィンは大笑いした
「なんだ、尻に敷かれてるのか?
さぞかし怖いカミさんなんだなぁ!
同じ軍隊で出逢ったんだったよな?
きっとガタイがいいオンナなんだろうなぁ」
フィンはナオトの嫁が軍人バリバリのプロレスラーのような想像をしているらしい
フィンは大柄な女性がタイプのようで、エイプリルもがっしりとした肩幅そして大きく張り出したヒップを持っている
「じゃあボクはそろそろ…」
ナオトはマグカップの残りを飲み干すと席を立った
「ナオト、週末はレッスンお休みよ!また週明けにね!」
エイプリルはウインクする
「週末は家族連れでビーチも賑やかになるんでしょうね? じゃあ月曜に!」
「バーイ」
ナオトは手を振って休憩部屋から出て行った
「さてと、店を閉めようか!
ん? エイプリル、首筋が赤くなってるぞ?
ははーん、さては波に乗りそこねたな?
ボードで打ち付けたんだろう!」
「わたしはそんな下手じゃないわ!」
ふたりは笑った
エイプリルは自分のマグカップを飲み干すとナオトが飲み終えたマグカップも手に取って流し台のほうへ向かった
“……またね、ナオト”
エイプリルはナオトが使っていたマグカップを見つめていた