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「シャーク×サルベージ」

第1章 「マリン・ジェガン」


その日の夕方


港に戻ってきた空母とサルベージ船

それを基地の金網フェンス越しに見つめている少年


フランスでは目立つアジア系の顔立ち


下船したスタッフたちのなかでパイロットのシンシアが彼に気が付き、手を振った


少年も合図をしてからその場を立ち去った



「シンシア、彼が例の旦那さん?」


「そうだよ、迎えに来てくれたようね」


「前の職場で知り合ったの?」


「そう、空軍でね 今は退役してる
 一時期病気で療養しててね」


「病気? そのわりには顔は真っ黒に日焼けしてたよね? ベトナム人? シンガポール?」


「ああ、彼は日本人よ! 日焼けしているのはフランスに来てからサーフィンのレッスンを受けてるからなの」


「へぇ、サーファーなの?」


「サーファーじゃないわ、時間を持て余してるからレジャーを楽しんでるだけのシロートよ」


シンシアは笑った


「アンタも退役軍人なんでしょ?
 空軍でパイロットだったらしいじゃない」


「そう、軍は辞めたわ、だから今回はアルバイトなの! 海に潜るのは初めてだけど、戦闘するわけでもなかったし…

 でも…、あんな巨大なイカに付きまとわられたら逃げ切れなさそうね
 戦闘は御免なんだけど…
 そうも言ってられないようね」



「ベテランのマットがあの有り様だったし、アンタは相手にしないほうがいいよ
 命あっての物種よ」


「でも今回はマットのおかげでサルベージが成功したわ」


「そうね、宇宙から落ちてきたジェガンの解析も終わったら、いま上で何がおこっているのかわかってくると思うんだけど…」



クラウディアは空を見上げる


宇宙でも戦争は続いていた…







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