「シャーク×サルベージ」
第6章 「ラスト・ダンス」
3人はキブロン半島をぐるりとドライブを楽しんで、いくつかの夕焼けスポットを観光した
ようやく戻ってきたとき、すでにあたりは真っ暗になっていた
クルマを港の近くに停める
ヨットハーバーは静かだが、島へわたる定期船がまだ運行しているようだ
「前にここへ来たときは昼間だったから夜は雰囲気が変わるわね!」
「イル=ベル島での課外レッスンも楽しかったわ!」
「フェリーに乗るってちょっとした別世界へ旅してるみたいだよね、ボクも思い出深いよ」
「じゃあ、このまま島へ行ってみない!?
夜のイル=ベル島もステキよ、きっと!
いい思い出になるわ!」
2人が地球を離れる事になったので思い出作りをしたがっているように思えてナオトは協力してやろうと思った
「そうだね! 行こう!」
3人は最後の夜、思い出作りに躍起になるのだった
観光用の定期船は40分ほどの船旅だ
イル=ベル島も観光用のリゾートホテルが立ち並ぶ
切り立った崖、平たい丘など巨大な岩場の島
山などは無く荒涼とした風景だが、それは自然の雄大さを現していて観光客に人気だった
だが夜間にはそのような景色はまったく見れない
少し離れれば街灯も無いのだ
3人は港でタクシーを拾い、以前にサーフレッスンを受けたビーチにやってきた
意外と港からは近くて、歩いてもそれほど掛からなかったかもしれない
ビーチは月夜に照らされて幻想的だった
手荷物と簡単な軽食をシートに下ろすと、食事もせずに砂浜へ駆け出した
3人は笑いながら夜の砂浜を走り回った
港の灯りがある場所では海は真っ黒に見えたが、灯りも何も無い場所では月明かりだけでもじゅうぶん照らされて、思ったよりも夜目が通った
砂浜を駆け出したサーシャがナオトに追いかけられる
そのナオトをミアが追う
逃げ場を失ったサーシャは波打ち際に走っていく
「冷たいッ!?」
「もう逃げられないぞ!ハハハ」
「もう……、裾が濡れちゃったじゃない!」
3人は疲れも知らずはしゃいでいた
「あっちの浜まで行けるかしら?」
「岬を越えないと行けないんじゃないか?」
「あっちはたしか……ナチュラリストの専用ビーチよ? 夜にはキャンプファイヤーとかして周りを踊っているんじゃない?」