「シャーク×サルベージ」
第6章 「ラスト・ダンス」
3人の享楽は何度も続いた
皆が疲れ切ったとき、空が明るくなりかけてきた
「……すごかったわ」
「……ええ、とってもすごかったわ」
「ボクも…、とてもステキな夜だったよ」
3人で抱き合いながら余韻に浸っていた
「ナオト、わたしたちのこと忘れないで
ここでわたしたちと過ごした時間は永遠よ」
「そう、ミアの言うとおり
わたしたちは宇宙へ旅立つけど、わたしたちの魂はいつも此処にあるわ」
ミアとサーシャは代るがわるナオトの頬にキスをした
「さぁ、行ってナオト!
ここで別れましょう
この島でお別れすれば、貴方の心のなかでわたしたちは島に残っているかのように思えるでしょう?
キベロンの街からこの島が見えたら、
わたしたちのことを思い出して」
ナオトはふたりの意思を尊重して、ひとり立ち上がる
「わかった、ありがとうミア、ありがとうサーシャ! ふたりのことは忘れない
宇宙へ旅立ってもこのイル=ベル島のことは思い出しておくれ
楽しい時間だった
ステキで刺激的な日々だったよ!」
ナオトは波打ち際を背に歩いていった
最後の表情はとびっきりの笑顔にしたつもりだ
ちゃんと笑えていただろうか
いま背を向けて歩いている彼の目からはとめどもない涙が溢れ落ちている
止まらない
いつまでも、いつまでも涙が溢れてくる
これまで当たり前のように過ごしてきた日常が、ある日突然に掻き消えてしまう
もうふたりとは二度と逢えないだろう
穏やかな性格であるナオトからすれば、とても行動的なふたりの女の子のコミュニケーションにいつも助けられていたと思う
もしかすると彼女たちに出逢えなければ、サーフレッスンも寡黙な日々だったかもしれない
みんなで和気あいあいと会話が出来たのはこの姉妹の明るさのおかげなのだ
ナオトは感謝の気持ちと、別離による喪失感に心が押しつぶされていく
まだ明けきらぬ早朝のビーチをあとにして、歩いて港まで戻っていくのだった……