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「シャーク×サルベージ」

第7章 「ノヴァvsジェム」


数分後、コックピットハッチからようやくノヴァが乗り込んで来た

黒ずくめのパイロットスーツは珍しい


「出撃命令はまだのようね?」



問いかけるノヴァだが、シートに深く腰を沈めて待機していたクラウディアは黙って無視していた



「怒んないでよ、ちょっとした隙間時間に楽しんでただけじゃない」



「アンタたち、いつからそんな関係になってたのよ?」



「さっきよ、誘ってみたの」


クラウディアは呆れて何も言えなかった


「それより、どうして貴女とペアを組むの?
 わたしは前からこの機体の試作の段階から参加しているから独りでもじゅうぶんだったのに!

 貴女とギルがペアを組めば良かったじゃない」


ノヴァが言う通り、元々は一号機をシンシアとクラウディアが、二号機をノヴァとギルに割り振られていた


「わたしはアンタのお目付け役なのよ」


クラウディアがそう言い放ったタイミングでブザーが鳴った


タラップが外される


出撃だ


ふたりの正面のディスプレイに作戦司令が映る


「出撃だ、まずはマリン・ジェガンとジェロックの2機で出てくれ
 ソナーに敵の機影らしきものは出てない
 だが巨大な影が移動している
 ダイオウイカなら遠方からの威嚇攻撃をして周囲に近寄らせないでくれ!」


「了解!」
「了解!」


クラウディアがディスプレイの隅を見るとタラップの上でギルが何かジェスチャーをしていた


「?」


クラウディアは身を乗り出して声をかける


「なによ!」


「頭のメインカメラの横に海鳥の羽根が付いてるッ! 取り除け! 肝心なときに視界が狭まるぞッ!?」


ギルが指差した上の方向を見る


「どこよ? 見えないわよ!?」


クラウディアがさらに身を乗り出して頭部を見つめる



その瞬間!


ノヴァはコックピットの中からクラウディアの尻を蹴り上げた!


その弾みでクラウディアはコックピットハッチから落下し、海の中へ落とされてしまった!



「さっきのお返しよッ! この子はわたし独りでも操縦できるわ!」



そう言うとコックピットハッチが閉まり、ジェロック二号機は出撃してしまった!


海面をバタバタ足掻くクラウディアにギルが手を差し出す


「ごめんよ、クラウディア
 こうしろ、って言われてたんだ」

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