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「シャーク×サルベージ」

第8章 「イルカ・プール」


船の上でまったりとコーヒーを飲むフィンとナタリー


だんだん夜が明けようとしていた


「夜は暗くてわからなかったけど、結構岬の灯台まで来ていたのね?
 あっちはリゾートホテルね」


「そうさ、イギリスからの金持ちたちが夏のヴァカンスに来てるのさ!
 そしてウチの店でサーフィンを楽しむ
 彼らのおかげでこのキベロンの街が成り立ってる
 あっちのほうの白いリゾートホテル見えるか?あそこは入江もホテルの土地なんだ
 入江をネットで囲んでいてな、イルカのショーをやってるんだ
 もちろん宿泊客だけでなくビジターも入れる
 今度はあそこに忍び込んで楽しもうか?」


「そんなのホテルの人に見つかるわよ!
 それより沖合いからもイルカのショーって見れるのかしら?」


「うん? まぁ、後ろ側からだけど見ることぐらいは出来るんじゃないかな?
 午前中のショーが始まるのはまだ少しある
 もう一回、シようぜ?」


「店長も好きねぇ、いいわよ
 わたしを捕まえることが出来たらね?」


ナタリーはそのまま羽織っていたガウンを放り出して突然海へダイブした!


「このじゃじゃ馬めッ! そうか、たまには海の中でスルのも良いかもな? 待てよ!」


フィンもパーカーを脱いで船から飛び降りた


「ナット? どこ行った?」


フィンが海に浮かびながらあたりをキョロキョロ見渡した


遠くの灯台、そしてリゾート地が見えるだけだ


「おいナット!ふざけるなよ?」


フィンはスゥっと息を吸い込んで、海の中へ潜水した


まだ薄暗い海の中だが、少しづつ青い光りが挿し込んでいる


下をほうの海底の岩が遠くに見える


あたりに魚が居ない


“なんだ、魚なんて全然居ないじゃないか!
 このポイントは良い場所だって聞いていたのに、あいつ嘘つきやがったな!”


魚の代わりに下の方からぼんやり大きな物がゆっくり浮いてくる


“どぉせ海の中のゴミだろうよ”


漂っているだけの物は2本の長い物をひらひらさせて、自分の意思も無い


よく見たら2本の長い物とは“2本の腕”だ!


漂っているのは人間の上半身だった!


「!」


よく見るとその頭部はフィンが見慣れた顔


強ばった表情のまま固まったであろうそれは


ナタリーの身体の一部だった……





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