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「シャーク×サルベージ」

第8章 「イルカ・プール」


次の日の朝


部屋で朝食を摂ったナオトとエイプリルはまだまだ名残惜しそうに残り僅かな時間をゆったりと過ごしていた


ふたりの共通する話題になればいいが、結局はエイプリルはフィンとの馴れ初めや愚痴の話題になってしまい、ナオトは聞き役になっている


「もうそろそろチェックアウトの時間だね」


「え、もう……、そっか……仕方ないわね
 そう言えば此処のリゾートホテルは海側の土地も所有していてね
 入江を区切って自然のプールにしているのよ」


「へぇ? ホテルのプライベートビーチみたいなもの?」


「それも有るけど、入江にはイルカのショーをしているの! 凄いでしょう?」


「チェックアウトの時間ではあるけど、お昼にはまだまだじゅうぶん時間があるね?
 せっかくだからイルカのショー観て行く?」


「そうね、それがいいわ!」


ふたりはいちどフロントまで降りてチェックアウトを済ませる


フロントの男性にショーの事を聞くと午前中の1回目のショーはもうすぐ始まると教えてくれた


急いでふたりは入江のほうへまわった



簡易的なベンチが並べられていて、小さなスタジアムのようだった


すでに宿泊客や他所からの観光客でいっぱいだ


看板を見るとショーの他にも餌やり体験、いっしょに泳ぐイルカダイビング体験、なかには心を閉ざしてしまった子供向けのアニマルセラピスト体験などのアトラクションも開催しているようだ


後からやって来たナオトたちは後ろの方の席にこっそり座る


入江は完全に外洋と繋がっており、ただ海中にネットで囲ってあるだけのように思える


幾つかのブイが浮かんでおり、ショーの区画、餌やりの区画、ダイビングの区画に分けられていた


ショー側の区画にはステージが設けられ、ウエットスーツ姿の男女がショー直前のトレーニングをしている


観客席側は少し窪んでいて、海中のイルカたちの姿が見られるよう透明なアクリルがある


時おり大きなイルカが軽快に通り過ぎる


その度に子どもたちの声が響く


リゾート地ならではの幸せな空間だ


ショーが始まった!


「レディース&ジェントルメン!
 ボーイズ&ガールズ!
 ようこそ、キベロン・イルカ・ショーへ!」



ショーが始まったと同時に突然、真ん中から大きなイルカがジャンプ!


大歓声が上がる!


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