「シャーク×サルベージ」
第9章 「対決」
岸壁にもたれ掛かるように漂着しているマリン・ジェガン
その中にナオトとクラウディアが居た
「エネルギーは70%、十分だ」
「キミ、この機体を動かせるの?
キミが居たのは空軍でしょう?」
「脚が無いのは同じだよ、時間が無いんだ
援軍を要請しても、間に合わない
行こう!」
カーソン軍曹が深海からかろうじて脱出した機体に新しい命が入ったかのように全身が振動する!
「ブースターも生きてる、武器は手持ちのと内臓魚雷だけか…」
「私が操縦したほうが…」
「クラウディアさんは骨折しているんでしょう?」
クラウディアは新型機ジェロック二号機のハッチからノヴァに蹴り落とされた際、フロート式のカタパルトを強打して肋骨を折っていた
そのためサルベージ作戦の本隊とは別にバックアップチームへ回されて、漂着したマリン・ジェガンの回収作業を指揮していたのだ
「行きますよ!」
コックピットハッチを閉めて、マリン・ジェガンのブースターが唸った
ケーブルで固定されて引き揚げられていた機体が大きく揺れる
コックピットシートに座るナオトはともかく、シートの後ろにしがみついているだけのクラウディアは必死にシートの縁を掴んでいる
「ぐぅ…ッ!」
あばらの骨が痛すぎて、指に力が入らない!
苦悶するクラウディアの声を聞いて、ナオトも気が気でない
「仕方ないなぁ、ちょっとクラウディアさん
こっちにまわって!」
ナオトを彼女の手を引いて前の方へ引き寄せる
抱き合うような体勢になったあと、そのまま彼女を前に向かせる
これでシートに座るナオトの上から密着して座るように身体を重ねる
そしてシートベルトを緩めにセットする
これで二人羽織のようにふたりが身体を固定した
「申し訳ないけど、我慢してね」
「わ、私は良いけど……、重くない?」
「大丈夫!行きまーす!」
マリン・ジェガンは勢いをつけて大きく揺れ、ケーブルを引きちぎって海の中へ着水させた!
「さぁ、行きましょう!」
マリン・ジェガンは浮いた状態で海上スクーターのように疾走していった……