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緋色の罠

第6章 緋の遊戯〜疑惑

 わたしと夫は喧嘩一つしたことがない。身体は求められなくても、優しい愛情を感じるし、わたしも夫を愛している。

 もしも子供がいたら、夫がかまってくれなくても気が紛れただろう。

 いつも考えていることが堂々巡りを繰り返してるうちに、木島さんが浮かんだ。彼がわたしに言ったことの何かが引っかかっていた。

 しかし…思い出すのは、熱く濡れたわたしの中で、激しい動きを繰り返す逞しい屹立の感触だけ。


(あ…)


 手が勝手に下腹に伸び、下着の中に忍び込んで、さっき慰めたばかりなのに相変わらずジンジン疼いている秘所をまさぐり始める。


(ぅ…ぁ、ぁっ)


 粘性のある愛液の中を動くわたしの指が、クチュッと、かすかな音を奏でる。

 夫に背を向け、淫らな行為をやめられなくなったわたしの、眠れない夜が更けていく。

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