
緋色の罠
第6章 緋の遊戯〜疑惑
眠れない夜が明けた。出勤する夫を見送り、細々とした家事を済ませたあと、リビングの窓からいつものように庭を眺める。すると赤いものが目に入った。
緋色の…昨日見つけたヒガンバナだ。昨日より花が開いて、中から蜘蛛の足のような長い蕊(しべ)が覗いている。やっぱり気味が悪い。
ヒガンバナをたくさん植えて観光客を呼んでいる所もあるが、わたしにはこの花を愛でる感覚が理解できない。
もちろん、感性は人それぞれだから、何を美しく感じようとその人の自由なのだが。
「おはようございます」
庭に出て作業をしていると、女性の声で通りから挨拶された。その人の笑顔を見て、ドキッと心臓が跳ねる。
「木島さん…おはようございます」
「素敵なお庭ですね。いつも、綺麗だなあって拝見させてもらっています」
「あ、ありがとうございます」
「ほら、メグちゃん。挨拶なさい」
わたしに明るい声で話しかけてきたのは木島さんの奥さんだった。
美人というより可愛らしいと言ったほうがピッタリの小柄な女性だ。自転車の後ろの椅子に小さな女の子が乗っている。はにかんだ表情が愛らしい。
「メグちゃんていうの?。おばちゃんはね。ユリというのよ」
「ユリちゃん?」
「そう。よろしくね」
ご機嫌を取ろうと優しい声で話しかけたその時、何かがひらめいた。
緋色の…昨日見つけたヒガンバナだ。昨日より花が開いて、中から蜘蛛の足のような長い蕊(しべ)が覗いている。やっぱり気味が悪い。
ヒガンバナをたくさん植えて観光客を呼んでいる所もあるが、わたしにはこの花を愛でる感覚が理解できない。
もちろん、感性は人それぞれだから、何を美しく感じようとその人の自由なのだが。
「おはようございます」
庭に出て作業をしていると、女性の声で通りから挨拶された。その人の笑顔を見て、ドキッと心臓が跳ねる。
「木島さん…おはようございます」
「素敵なお庭ですね。いつも、綺麗だなあって拝見させてもらっています」
「あ、ありがとうございます」
「ほら、メグちゃん。挨拶なさい」
わたしに明るい声で話しかけてきたのは木島さんの奥さんだった。
美人というより可愛らしいと言ったほうがピッタリの小柄な女性だ。自転車の後ろの椅子に小さな女の子が乗っている。はにかんだ表情が愛らしい。
「メグちゃんていうの?。おばちゃんはね。ユリというのよ」
「ユリちゃん?」
「そう。よろしくね」
ご機嫌を取ろうと優しい声で話しかけたその時、何かがひらめいた。
