いつか、絶望の底から救い出して…
第6章 Mの正体
「現在絵描き工房は点員がいっぱいだと聞きました。それで馬渕先生は俺をこの工房の一員にしたいとおっしゃっていましたが、それはどう言う意味ですか?」
「──ッッッッ!!」
舞希の言葉に、アタシは目を大きく見開いた。
たしかにそうだ。点員がいっぱいって言ってるのにそこに無理矢理入れ込むと言うのは誰かをクビにすると言うことだ。
最も恐れていたことが起きてしまった……
舞希の言葉に、真渕先生は軽く咳払いをすると、話を続けた。
「たしかにそうなりますね。誰かをクビにしないとこの工房で佐久良さんは働けませんからね」
「それって……」
真渕先生の話に、舞希の顔が曇る。
舞希はこの先の言葉を知っているのだろうか?
なんて思いながら舞希を見つめていると、突然、真渕先生がアタシの方を向いた。
その視線は冷たく、一切温かみが感じられない。
まるで虫を見下ろすような目だった。
いや、やめて、そんな目、アタシに向けないでよ……!
「今回はクビにするのは嘉齊真奈加さんです」
「え…………」
その言葉はあまりにも残酷だった──