いつか、絶望の底から救い出して…
第7章 弱者に構うな
俺は怒りを堪えながら瀬尾に向き直ると、瀬尾から一枚の紙を受け取った。
「今度のイベントに向けての作品を書いてほしい。期限は次のイベントまで。テーマは自由だ」
「次のイベント……?」
「そう、次の仕事場となるイベント。『ゲームショー』だ」
『ゲームショー』とは年に一回行われるゲームの祭典。
様々な企業が集まり、自社の新作を発表する場でもある。
そこで発表される新作はどれも魅力的で、毎年多くのファンが訪れるのだ。
「君にはそこで発表する作品を頼みたい。もちろん、君が作った作品ならどんなものでも構わない。断らないよね?あのこの贖罪のためにも」
「は、はい……」
瀬尾の言葉に、俺は黙ってうなずくしかなかった。
「じゃあ、よろしく頼むよ?佐久良君」
瀬尾はそう言うと、再びソファに座り、コーヒーを飲み始めた。
コーヒーを飲みながら瀬尾が話しかける。
「あとね。佐久良君。君は優しすぎるんだよ」
「は?」