いつか、絶望の底から救い出して…
第7章 弱者に構うな
「なんでしょう?」
振り返りながら要件を聞くと、瀬尾は不気味な笑みを浮かべながら話し始めた。
「弱者に構ってる時間は君にはないはずだよ?」
「何が言いたいんです」
「わからないのかい?君は類い稀なる才能を持っている。弱者に哀れみの感情を向けている時間が勿体ないと言っているんだ」
「ッッッッ──!!」
その言い草に我慢出来ず、俺は思わず拳を握りしめた。
「あなたはどこまで人を侮辱すれば気が済むんですかね」
「事実だよ佐久良君。君のような才能があり溢れた人間が、あんな落ち零れに構ってる時間が勿体無いと言っているんだ」
「……撤回してください。それだけは訂正してください。真奈加は俺のパートナーだ。蔑むのは俺だけにしてください!」
怒りに声を荒げる。
普段の丁寧な言葉遣いから一変して乱暴な口調になってしまったが、そんなこと今はどうでもよかった。
ただとにかく真奈加を侮辱したコイツが許せなかったのだ。