いつか、絶望の底から救い出して…
第9章 あの頃と…
長い走馬灯を見ていた──
それはまだ、みんなが俺を受け入れてくれていた頃の楽しい走馬灯──
『すごいよ!佐久良君!また一位だね!』
『佐久良君は天才だね!』
『君は優秀だ!!』
大人達に褒められるのが嬉しかった。
誰かに褒められることが嬉しかった。
でも俺はこの時知らなかった……
勝者がいれば敗者がいることを……
その敗者が俺に牙を向けていることも……
幼い頃の自分は何も知らなかった……
いや、知らないフリをしていたのかもしれない。
誰も闇の部分なんて誰も見たくないのだから……