いつか、絶望の底から救い出して…
第9章 あの頃と…
やっと瞼が開いたのは名前を呼ばれてから数時間後だった。
「ん……」
目を開けるとそこには見慣れない天井があった。
「佐久良──!」
目をぱちくりさせる俺に、気づいた浅倉が駆け寄ってくる。表情からしてかなり焦っている。
「あさ……くら……?」
俺はゆっくりと首を動かしながら浅倉を見つめた。
浅倉は付き添い用の椅子に座りながら俺を見つめている。
その様子から浅倉が俺を運んでくれたと悟った。
「お前が運んでくれたのか?」
俺の言葉に、浅倉はコクコクと頷いた。