いつか、絶望の底から救い出して…
第10章 佐久良舞希①
浅倉の声色はひどく優しかった。
普段の浅倉からは想像つかない声。
その温かい声に、涙腺が緩む。
こんなに優しい浅倉は初めてだ。
いつもはもっとクールで冷たいヤツなのに。
調子が狂うじゃないか……
わかった話そう。
俺の全てを、俺の過去を。
うまく話せるだろうか?
途中で泣いてしまわないか?
いや、泣いてもいい。
声が枯れてもいい。
だから話そう。
どんな感じに思われるかはわからないが。
とにかく話そう。
俺はそう決心した。
「浅倉」
「なんや」
「俺の過去を聞いてくれ」
俺は真剣な眼差しでそう言うと、ゆっくりと口を開いた。