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いつか、絶望の底から救い出して…

第10章 佐久良舞希①


その日は子どもサークルの日だった。
子どもサークルとは、近所の子供達が会役員の車に乗って遠出する行事だ。

俺は母さんに朝ごはんを作ってもらい、迎えが来るのを待っていた。


「おはよう。舞希、舞衣」

「あ、父さん!」

「お父さん」


めずらしく、父さんが起きて来た。
俺は嬉しくて、椅子から立ち上がった。

椅子がガターンと音を立てて倒れる。


「あっ……!」


慌てて母さんが俺に駆け寄って来た。
椅子をゆっくりと起こす。


「ごめん母さん……」

「いいのよ舞希、ほら、お父さんに前に座ってもらいなさい」

「はーい。父さんこっち座って」


俺は前のテーブルを軽く叩いた。


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