いつか、絶望の底から救い出して…
第4章 Mの絵
「素敵な絵だと思っただけだ」
「そう?珍しいね。アンタがそう言うなんて」
「ま、まぁ…」
舞希は滅多に絵を素敵とは言はない。
だからこうやって褒めたことに違和感を覚えた。
まぁ…考えすぎか…
普段、朴念仁の様な人物が、変わったリアクションを取ると、こうも驚いてしまうのだ。
「とりあえず飯にしよう。今日は…」
「クリームシチュー!」
舞希の言葉を遮る様に、アタシは夕飯の名前を叫んだ。
リビングから漂う匂いで分かってしまったのだ。
「あ…言おうと思ったのに…」
「ごめーん」
少し膨れた舞希に、アタシは手を前にして謝ると、リビングへと入った。