いつか、絶望の底から救い出して…
第6章 Mの正体
「佐久良さん。貴方は素晴らしい才能をお持ちです。あの様な素晴らしい絵をお描きになる貴方が普通にアルバイトなんてもったいない。ぜひここで才能を発揮してください」
「え……は、は!?」
意味がわからない……
何言ってんのこの人……
舞希が素晴らしい絵を描く?
舞希は昔展覧会のコメ欄に絵を描いた事があるが、そんなに上手くない。
前見た時もあぁ、普通ぐらいだな…って思ってた。
その舞希がなぜ、こんなにもプッシュされているのだ?
アタシには分からない……
すると、隣にいた舞希がゆっくりと口を開いた。
「あの……俺にはそんなに画力はありません。ですからみなさんの期待には添えないかと……」
舞希の言葉にアタシは納得する。
この工房は画力が全てだ。
上手い奴が上に行き、下手は罵られて蔑まれる。
それがアタシ達絵師の世界だ。
「これでもそんな事を言えますか?」
「は……」
真渕先生はそう言うと、一枚のイラストを取り出した。