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煌めく波濤(はとう)

第1章 煌めく波濤(はとう)

 4

「エロJKって出てきたかぁ?」
 笑いながら言ってきた。

「あ、うん、まぁな、全日本エロ選手権準優勝だって出てきた」

「ふ、スケベジジイが…」

「でもサーフィン禁止じゃ、キツイなぁ…」

 俺がそう言うと…

「サーフィンじゃ、この先食って行けないぞって…
 クソ親父がさぁ…」
 少しテンション下げて呟いてくる。


「そうか…」

 確かに微妙な問題かもしれない…
 

「わたしさぁ…笑うなよ」
 なんとなく、照れ臭そうな顔をする。


「あ、うん…」


「わたしさぁ、将来獣医になりたいんだよね…」

「お、獣医かぁ、いいじゃん」

「神奈川県の藤沢にさぁ、獣医学部のある大学があってさ…
 そこに行こうかなってさぁ…
 藤沢だから湘南に近いし…」

「おお、確かにいいかもなっ…」

「でしょっ」
 碧はかわいい笑みを浮かべてくる。

「あ、ちなみに俺は、鎌倉生まれ、育ち、実家アリだぜ」

「うわっ、似合わねぇ」
 と、戯ける。

「こ、コラぁっ」
 そして俺はふざけながら、碧を軽く抱き寄せた。

「あ……」

 すると、その瞬間…
 碧が固まったのだ。

 おっ、おや…

 もしかして…

「お、お前、あ、じゃない、み、碧…
 もしかして…
 初めてなのか?…」

 思わずそう訊くと…

 な、なんと…

「は、初めて…じゃ…無い…だけ…」
 そう俯きながら、呟いたのだ。


 初めてじゃ無いだけ…って…
 
 おい、おい、あの夕方のキャラと違うじゃないか…

 俺も焦ってしまう…


「でも…大丈夫だよ…」

 そんな俺の想いが、顔に出たのだろう…
 碧は俺の目を見ながら話してくる。


「え、大丈夫って…」

「うん…大丈夫だよ…
 おじさん、いや、純のことは…
 嫌いじゃないから…」

 と…
 恥ずかしそうに言ってきた。


「嫌いじゃないから…か…」

 若干、複雑な想いではある…

「あ…ごめん…
 す、好…き…かな…」

 碧は完全に横を向いてそう呟いてきた…
 のだが、その横はにラブホテル然とした大きな鏡が張ってある。

 そしてその横を向いた碧の目と、鏡の中で俺の目が…
 合ったのだ。

 その瞬間…

 俺達は、自然と引き合うかのように抱き合い…

 キスをする…

 碧は…

 ほんの少しだけ…

 震えて…いた…
 



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